ゲーム制作ガイド · BGMの選び方
RPGに必要なBGMの種類と選び方 場面別のテンポの目安とおすすめフリー素材
RPGでは、同じ曲がずっと流れるわけではありません。町を歩くとき、ダンジョンを探索するとき、敵と戦うとき――場面が変わるたびに曲も切り替わり、プレイヤーは音で「いまどこにいて、何をしているか」を感じ取ります。この記事では、RPGに必要なBGMの種類と、それぞれを選ぶときのポイントを場面別にまとめました。テンポの目安は、当サイトに収録している200曲の実際の数値から出しています。

まず全体像:RPGで使うBGMの種類一覧
RPGのBGMは、大きく「長く流し続ける曲」と「区切りで1回だけ鳴らす曲」に分かれます。フィールドや戦闘のように場面が続くあいだ流す曲はループ再生し、戦闘の勝利やレベルアップのような区切りには、数秒〜30秒ほどの短い曲(ジングル)を1回だけ鳴らします。
下の表は、RPGでよく使う場面と、それぞれの曲の役割・テンポの目安をまとめたものです。テンポは、当サイトに収録している200曲を場面ごとに分類し、BPM(1分間の拍数)の中央値を出したものです。
| 場面 | 役割 | テンポの目安 中央値(範囲) | 再生のしかた |
|---|---|---|---|
| タイトル画面 | 作品の第一印象を決める | — | ループ |
| フィールド | 冒険の広がり・移動 | 127 BPM 72〜182・26曲 | ループ |
| 街・村 | 安心・日常・会話 | 110 BPM 88〜138・21曲 | ループ |
| ダンジョン | 探索・緊張・謎 | 127 BPM 60〜164・28曲 | ループ |
| 通常戦闘 | もっとも繰り返し聴く戦闘曲 | 168 BPM 130〜198・27曲 | ループ |
| ボス戦 | 特別な強敵との戦い | 153 BPM 102〜182・10曲 | ループ |
| 勝利・達成(ジングル) | 区切りを知らせる短い曲 | — | 1回だけ |
| 宿屋・休息 | 回復・セーブ・ひと息 | 100 BPM 66〜122・17曲 | ループ |
| 城・神殿・お店 | 施設ごとの個性 | 118 BPM 74〜146・23曲 | ループ |
| イベント | 会話・感動・物語の転機 | 112 BPM 70〜186・31曲 | ループ(場面による) |
| アクション・追跡 | 脱出・追いかけっこ | 176 BPM 156〜204・13曲 | ループ |
| エンディング | 物語の締めくくり | — | 終わりまで1回 |
テンポは目安です。同じBPMでも、拍子や旋律の動き、音の数によって速く感じたりゆったり感じたりします。
グラフを見ると、アクションと戦闘の曲が速く、宿屋・休息の曲がもっともゆったりしていることがわかります。場面の緊張感とテンポがおおむね比例している、と考えると曲を選びやすくなります。
フィールド:冒険の広がりを感じる曲
フィールド曲は、町からダンジョンへ移動するあいだ長く流れ続ける曲です。プレイ中に聴く時間が長くなりやすいので、主旋律がはっきりしていて、何周聴いても疲れにくい曲が向いています。
当サイトのフィールド曲26曲のテンポは72〜182 BPMと幅があり、中央値は127 BPMです。少し速めの曲は前へ進む気分を、ゆっくりした曲は雄大さや静けさを出せます。雪原・荒野・海など、地域ごとに曲を変えると世界の広さを表現できます。
新しい地図を広げて
新しい地図を広げる広大な冒険の4/4フィールド曲。高い25%パルスの主題が道を描き、低い案内の対旋律と歩く低音が地図の外へ向かいます。
風車が回れば、旅は始まる
風車の丘から冒険が始まる4/4フィールド曲。高い25%パルスの主題は風車の羽根のように上がり、細い低い返答とずれた低音の歩幅が交差します。
街・村:安心できる「帰る場所」の曲
街や村は、買い物や会話をしながらひと息つく場所です。戦闘やダンジョンから戻ったときに「安全な場所に来た」と感じられるよう、落ち着いたテンポで、明るさや温かさのある曲を選びます。
当サイトの街・村の曲21曲は中央値110 BPMで、雰囲気には「温かい」「素朴」「遊び心」が多く付いています。港町・農村・城下町など、町ごとに曲を変えるのも定番の演出です。
灯りの小路
小路で交わす挨拶のような主題が、3/4の穏やかな低音と分散和音に乗るRPG街曲。隣人の独立した対旋律、市場の別主題、午後の木陰、窓越しの短い応答を重ねて家路へ戻る。
門が開く、街が歌う
勇者の帰還を迎える晴れやかな街の曲。門から広がる長い主題、街の人々が応える低い対旋律、落ち着いた行進の低音を使います。
ダンジョン:緊張感と謎めいた空気
ダンジョン曲は、敵が出てくるかもしれない緊張感と、奥へ進みたくなる好奇心の両方を支えます。主旋律を控えめにして、低音や繰り返しのフレーズで空気を作る曲は、探索や謎解きのじゃまをしにくいのが特徴です。
当サイトのダンジョン曲28曲のうち27曲に「神秘的」の雰囲気が付いています。洞窟・遺跡・塔など、ダンジョンの種類ごとに曲を分けると、場所の違いがはっきり伝わります。
沈む階段
2+2+3の7/8拍子で足場が少しずつずれる探索ダンジョン曲。低めの主題、短周期ノイズ、半音上の和声が緊張を保ち、反響する別主題と狭い階段を経て深部で対旋律を重ねる。
地底の赤い脈
溶岩洞窟の危険な探索。七拍の細分を3+2+2で刻み、半音の擦れを含む短い警告の主題と、足場を確かめる低音を組み合わせる。
通常戦闘:何度聴いても飽きにくい曲
通常戦闘の曲は、RPGの中でもっとも繰り返し聴かれる曲のひとつです。戦闘のたびに頭から流れるので、前奏が短く、すぐに盛り上がる曲が向いています。攻撃や魔法の効果音と重なるため、効果音を聞き取りやすい曲かどうかも確かめておきましょう。
当サイトの通常戦闘向けの曲(27曲)は中央値168 BPMで、アクション曲に次いで速いグループです。
青空を駆ける剣
明るい通常戦闘曲。階段を上る短い主題と大きな跳躍、拍の隙間を支える対旋律、前へ進む低音。
開幕一閃、風の門を越えて
188BPM、前奏を挟まず最初の音から主旋律が出るファミコン風戦闘曲。短い跳躍の主題、追撃の低音、明るい別主題、静かな盾の影、音色を交換した帰還で攻防を描きます。
ボス戦:特別な強敵には専用の曲を
ボス戦の曲でいちばん大切なのは、通常戦闘と聴き分けられることです。重い低音、短調、変拍子、長めの構成など、通常戦闘とは違う要素で「いつもと違う戦い」だと伝えます。
当サイトのボス戦向け10曲の中央値は153 BPMで、通常戦闘(168 BPM)より遅めです。速さよりも重さで迫力を出す曲が多い、という傾向が出ています。中ボスとラスボスで曲を分けると、物語の山場がさらに引き立ちます。
鉄冠の決戦
重い低音リフが3+2の5/8で迫るボス戦。半音の緊張を持つ鋭い主題、刃を交える対旋律、低音だけが露出する間合いから段階的に圧力を上げ、主題の帰還と最後の高音域へ進む。
玉座を覆う影
恐ろしい大ボス戦。速度ではなく、五拍の重い歩み、狭い半音と大きな跳躍、長く残る低い支えで圧力を作る。
ボス戦だけ曲を変えるには
RPGツクールMZなら、イベントコマンドの[戦闘BGMの変更]でボス用の曲に切り替えてから戦闘を始めます。詳しくはRPGツクールMZでBGMを追加・変更する方法で解説しています。
勝利・達成のジングル:1回だけ鳴らす短い曲
戦闘に勝ったとき、レベルが上がったとき、アイテムを手に入れたとき。こうした区切りには、短い曲(ジングル)を1回だけ鳴らします。ジングルは繰り返さないのが基本で、RPGツクールではBGMとは別の「ME(ミュージック・エフェクト)」として扱います。
当サイトには、勝利後のファンファーレ、報酬画面向けの曲、ゲーム開始やアイテム獲得向けの数秒の合図など、ジングルを4曲収録しています。
旗は高く、胸は晴れて
勝利後の短いファンファーレと余韻。跳ねる三音の呼び声から高い旗のような長音へ進み、裏側では行進の低音と独立した返答が支える。
できた!小さな勲章
アイテム獲得、課題達成、短いリザルト表示に使う3小節のファミコン風ジングル。小さな呼び声を高い返事が受け取り、最後はC長調の勲章へ着地します。
宿屋・休息:静かに体力を回復する時間
宿屋やセーブポイント、野営の場面では、ゆったりした曲でプレイヤーをひと休みさせます。当サイトの休息・宿の曲17曲は中央値100 BPMと場面別でもっとも遅いグループで、すべての曲に「安らぎ」の雰囲気が付いています。
また会える灯
優しいセーブポイント・回復拠点。3/4の揺れに乗る小さな帰還の歌と、遅れて寄り添う独立した返答。
毛布にくるまれた星の宿
毛布にくるまれた星の宿を想定した、休息・宿・セーブ場所向けのオリジナルBGM。独立した主題、響きと音域を変える対照部、呼吸を置いた主題回帰を持ちます。
城・神殿・お店:場所の個性を出す曲
お城、神殿、お店、ギルドなど、特定の施設に入ったときに曲を切り替えると、その場所の印象が強く残ります。神殿なら厳かに、お店なら親しみやすく、と施設の性格に合わせて選びましょう。当サイトの施設・神殿の曲には「集中」「親しみ」「儀式的」の雰囲気が多く、お店や準備画面に使える曲も含まれています。
五つの灯、眠る神殿
5/4の3+2を刻む静かな神殿・儀式曲。短調の祈りにDorianの明るさと半音上の和声を差し込み、柱の間で動く別主題、独立した対旋律と低音の応答を重ねる。
エプロンを結んで、店を開けよう
小さな料理店の準備を描く明るい日常曲。短い注文のような主題、挨拶の応答、手際よく動いて拾い上げる低音を組み合わせます。
イベント:会話・感動・物語の転機
仲間との会話、別れ、決戦の前夜など、物語が動く場面ではイベント曲を使います。悲しい場面、楽しい場面、緊迫した場面と、感情ごとに数曲ずつ用意しておくと演出の幅が広がります。当サイトのイベント曲31曲には「希望」「内省的」「切ない」の雰囲気が多く付いています。
名もない旅人へ、風の手紙
旅人の墓標に寄せる静かな悲哀の曲。長く保つ主旋律の間を、続く内声と長い低音がつなぎます。
剣を置いて、明日を選ぶ
決戦の前夜、静かな覚悟から盛り上がる4/4物語曲。低めの25%パルスの長い主題とゆっくりした低音から始め、思い出す名前、広い夜の別主題、最後の静かなひと息を経ます。
アクション・追跡:時間制限や脱出の場面
崩れる洞窟からの脱出や、敵に追われる場面には、テンポの速い曲が合います。当サイトのアクション曲13曲の中央値は176 BPMで、場面別でもっとも速いグループです。ふだんの戦闘曲より速い曲にすると、「急がなければ」という焦りが伝わります。
崩れる岩の向こうへ
洞窟から脱出する切迫感のある曲。四拍の推進力に、上向きの主題と追い掛ける別旋律を組み合わせる。
タイトル画面とエンディング
タイトル画面の曲は、ゲームを起動した人が最初に聴く曲です。作品の世界観が短い時間で伝わる曲を選びましょう。エンディングは物語を締めくくる曲で、ループさせずに終わりまで流す使い方もできます。当サイトでは、イベント曲の中にタイトル画面・オープニング向けの曲や、エンディングと旅立ちを描いた曲があります。
物語は、ここから
タイトル画面・オープニングのための3/4曲。最初の頁を開く、下がってから大きく上がる独立した主題に、温かな余白の返答と低音を合わせます。
あの日の風と、新しい朝
懐かしいエンディングと旅立ち。六拍の穏やかな揺れに、覚えやすい呼び掛けと静かな返答を置く。
短編RPGで最低限そろえたい10曲
はじめてRPGを作るときは、全部の場面に専用の曲を用意しようとすると大変です。まずは次の10曲をそろえると、短編RPGの主な場面はひと通りカバーできます。
- タイトル画面:作品の顔になる1曲
- フィールド:移動中に長く流れる曲
- 街・村:拠点で流れる落ち着いた曲
- ダンジョン:探索用の緊張感のある曲
- 通常戦闘:もっとも多く聴かれる曲
- ボス戦:通常戦闘と聴き分けられる曲
- 勝利のジングル:戦闘後に1回だけ鳴らす曲
- 宿屋・休息:回復やセーブの場面の曲
- イベント:感動・悲しみなど物語の山場の曲
- エンディング:物語を締めくくる曲
ここから、ダンジョンごとの曲、ラスボス専用の曲、町ごとの曲……と少しずつ増やしていくと、手間を抑えながら世界を広げられます。
曲を選ぶときの共通のコツ
長く流す場面はループ版を使う
フィールドや戦闘のように同じ曲が続く場面では、曲の終わりと頭がつながるように作られた「ループ版」を使うと、繰り返したときに途切れて聞こえにくくなります。当サイトでは多くの曲にループ版(または1周音声)を用意しています。
音色の雰囲気をそろえる
ドット絵のゲームならファミコン風、重厚なグラフィックならオーケストラ風、というように、グラフィックと音の時代感をそろえると作品にまとまりが出ます。ファミコン風の音の特徴はファミコン風BGMとは?8bitの音色の特徴と使い方で解説しています。
効果音と重ねて確認する
単体で聴いて良い曲でも、ゲームの中では効果音やセリフと同時に鳴ります。実際の画面で効果音と重ね、音量のバランスを整えてから決めましょう。
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