ゲーム制作ガイド · ファミコン風BGM
ファミコン風BGMとは? 8bitの音色(矩形波・三角波・ノイズ)の特徴とゲームでの使い方
ピコピコとした電子音で、懐かしいゲームの雰囲気を感じさせる「ファミコン風BGM」。8bit音楽やチップチューンとも呼ばれ、ドット絵のゲームと組み合わせる定番の音楽です。この記事では、ファミコン風の音がなぜあの響きになるのかを、元になったファミコンの音源のしくみから説明し、ゲームで使うときのポイントをまとめます。当サイトの8bit・ファミコン風BGM(175曲)の中から、音色の違いがわかる曲も試聴できます。

ファミコン風BGM・8bit・チップチューンの違い
似た言葉がいくつかあるので、最初に整理しておきます。
- ファミコン風BGM:1983年に発売された任天堂の家庭用ゲーム機「ファミリーコンピュータ」の音源のような音色で作った曲。
- 8bit(8ビット):ファミコンのCPUが8ビットだったことから、当時のゲーム機らしい音全般を指して使われることが多い言葉。
- チップチューン:ゲーム機やパソコンの音源チップ、またはその音をまねたシンセサイザーで作る音楽のジャンル名。
厳密には意味が少しずつ違いますが、フリー素材を探すときにはほぼ同じ意味で使われています。当サイトでは「ファミコン風」を音色の分類として使っています(任天堂などの公式素材ではありません)。
ファミコンの音源は5つの音でできている
ファミコン本体の音源は、矩形波(パルス波)2つ、三角波1つ、ノイズ1つ、DPCM(サンプル再生)1つの、5つの音(チャンネル)で構成されています。同時に鳴らせるのは基本的にこの5音だけ。メロディ・伴奏・ベース・ドラムを、この中でやりくりして曲を作っていました。
| チャンネル | 音の特徴 | よく使われる役割 |
|---|---|---|
| 矩形波(パルス波)1・2 | 明るく芯のある音。波の幅で音色が変わる | メロディ、ハーモニー、伴奏 |
| 三角波 | 丸く柔らかい音。音量を変えられない | ベース、低い旋律、キック |
| ノイズ | ザーッという雑音 | スネアやハイハットなどのドラム、効果音 |
| DPCM | 短い録音データを再生 | ドラム、声などのサンプル |
なお日本のファミコンでは、ディスクシステムや一部のカセットに音源が追加されていて、もっと多くの音を鳴らすソフトもありました。
矩形波(パルス波):波の幅で音色が変わる
矩形波は、高い状態と低い状態をカクカクと行き来する波です。ファミコンの矩形波では、1周期の中で高い状態が占める割合(デューティ比)を12.5%・25%・50%・75%の4種類から選べました。幅が狭いほど細く鋭い音に、50%に近いほど太く丸い音になります。75%は25%の波を上下反転させた形なので、聞こえ方は25%とほぼ同じです。
当サイトのファミコン風の曲でも、曲ごとにデューティ比を使い分けています。聴き比べると、同じ矩形波でも印象がかなり違うことがわかります。
霧は、運河の角で笑う
低めの細い12.5%パルスが小さく折れ曲がる、霧の運河の街の曲。細く鋭い音色の例です。
新しい地図を広げて
高い25%パルスの主題が道を描く、冒険のフィールド曲。明るく抜けのよい音色の例です。
焚き火を囲む、四つの影
温かな50%パルスの主題が流れる、焚き火を囲むイベント曲。丸く柔らかい音色の例です。
紅の交差戦
二つのパルスが主題を受け渡す通常戦闘曲。2つの矩形波の掛け合いが聴けます。
三角波:ベースを支える丸い音
三角波は、なめらかに上下する丸く柔らかい音で、主にベースを担当しました。ファミコンの三角波チャンネルには音量を調整する機能がなく、鳴っているか止まっているかのどちらかです。そのため、強弱をつけにくいかわりに、いつも同じ太さで低音を支えてくれます。
音の高さを素早く下げてキックドラムのような音を作るのも、よく知られた使い方です。
閃光回路、夜を切り拓け
DPCMを使わず、三角波でキックを鳴らしている戦闘曲です。ベースとドラムを三角波が兼ねる響きが聴けます。
ノイズ:ドラムと効果音を担当
ノイズは、ザーッという雑音を出すチャンネルです。音の高さ(周期)を変えるとスネアドラムやハイハットのような音になり、ドラムパートを担当しました。爆発や足音などの効果音にもよく使われます。
ファミコンのノイズには、ふつうの雑音に加えて、周期が短くなってブザーのように響くモードもあります。
沈む階段
短周期ノイズが緊張を保つ、7/8拍子のダンジョン曲です。
少ない音で聴かせる工夫
同時に鳴らせる音が少ないファミコンの曲には、限られた音数で豊かに聴かせる工夫がたくさんあります。ファミコン風の曲を選ぶときや、自分で作るときのヒントになります。
- アルペジオ:和音の音を1つのチャンネルで素早く順番に鳴らし、和音のように聴かせる。
- エコー:もう1つの矩形波で同じメロディを少し遅らせ、小さい音で重ねる。
- 音色の切り替え:フレーズごとにデューティ比を変えて、同じチャンネルでも表情を変える。
- 役割の兼用:三角波でベースとキックを兼ねたり、メロディの休みに伴奏を割り込ませたりする。
当サイトのファミコン風の曲は、矩形波(パルス波)・三角波・ノイズを中心とした音色で作っています。使っている音色は、各曲ページの[楽器・音色]欄で確認できます。ただし、ファミコン本体の音を完全に再現したものとは限りません。
ゲームで使うときのポイント
グラフィックと時代感をそろえる
ファミコン風の曲は、ドット絵や低い解像度のグラフィックとよく合います。高精細な3Dのゲームに合わせると、音だけが浮いてしまうことがあります。あえて組み合わせる場合は、レトロな演出として意図が伝わるようにしましょう。
効果音もレトロな音にそろえる
BGMがファミコン風なら、決定音や攻撃音などの効果音も電子音系にそろえると、まとまりのある作品になります。
音量は少し控えめに
矩形波は耳によく通る音なので、長時間聴くと疲れやすいことがあります。効果音やセリフと重ねて、BGMの音量を少し下げておくのがおすすめです。
長く流す場面はループ版を
フィールドや戦闘のように同じ曲が続く場面では、ループ版を使うとつなぎ目で途切れにくくなります。どの場面にどんな曲が合うかはRPGに必要なBGMの種類と選び方で詳しく紹介しています。
開幕一閃、風の門を越えて
188BPM、前奏を挟まず最初の音から主旋律が出るファミコン風戦闘曲。短い跳躍の主題、追撃の低音、明るい別主題、静かな盾の影、音色を交換した帰還で攻防を描きます。
灯りの小路
小路で交わす挨拶のような主題が、3/4の穏やかな低音と分散和音に乗るRPG街曲。隣人の独立した対旋律、市場の別主題、午後の木陰、窓越しの短い応答を重ねて家路へ戻る。
また会える灯
優しいセーブポイント・回復拠点。3/4の揺れに乗る小さな帰還の歌と、遅れて寄り添う独立した返答。
注意:既存のゲーム音楽の「再現」は別物
「ファミコン風」は、あくまで音色や雰囲気のスタイルです。特定のゲームの曲をそのまま再現したり、アレンジしたりしたものを使うと、その曲の著作権の問題になります。当サイトの曲はすべてオリジナル曲で、任天堂などの公式素材ではありません。利用条件は利用規約をご確認ください。



